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主に読書の感想にしか使ってないブログです。でも最近忙しすぎて読む暇が本当にない……。
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 京都の老舗旅館「柊屋」で六十年の間、仲居をやっていた田口八重さんの随筆です。

 仲居となったいきさつから始まり、柊屋に訪れる様々なお客さんとの思い出が徒然に語られているお話ですが、読んでいて仲居という仕事がどれほど大変なものなのか知りました。
 実は私は旅館なる場所に行ったことがあるのは、十八年の記憶にある限りでは、二年前に一度行ったことがあるだけなのです。その際に初めて仲居さんというお仕事を知り、旅館では食事を各部屋で取るということを知りました(無知。
 その時は挨拶やお客の接待って大変なんだろうなー、とぼんやりとしか感じていなかったのですが、今日この本を読んで、仲居さんの仕事はそれほど甘いものではないとわかりました。
 お茶や食事などはもちろんのこと、部屋の出入りからすべてに気を遣わなければならない仕事だし、お客さんの性格や場の空気を読み取って、行動をしなければならないから尋常の神経では努めないお仕事です。

 そんな中で出会っていく、多くのお客さんとの思い出は宝物のようにすばらしいものなのでしょう。
 たとえば、有名な人では私の好きな作家でもある川端康成。
 「古都」執筆の際には長い間居るからと別の旅館で過ごしていたらしいのですが、それ以外は川端康成はいつも「柊屋」に泊まっていたんだそうです。
 「古都」の主人公である千恵子は京都の人ですので、無論京弁であり、その際のモデルはもしかしたら八重さんも含まれていたのではないかと勝手に憶測しています。
 八重さんの語るお話から、川端康成はこんな人物像だったのだなと知ると、彼の作品もまた違った視点で見られるように思えます。

(「柊屋」には三島由紀夫も来たそうですが、八重さんから見た感じではちょっと昔の武士のような人だったそうです。だから、割腹自殺なんてしてしまったのしょうか……)

 改めて思うに、小説家の、それものちに文豪と言われるような方々は感受性が並ではないゆえに、自殺を選ぶ方が多いのではないかと思います。
 世の中を儚んでみたり、絶望してみたり……自分の才の限界を感じてみたり……。
 感受性豊かであっても、ポジティブ思考でなければ、小説家はやっていけないのかもしれません。
 もちろん、「柊屋」にはそういったポジティブ思考の作家さんも幾人かいらしたそうですが……。

 八重さんは、「柊屋」は出会いの場であり、また学びの場であったとこの本の中で語っていらっしゃいます。
 私にもそんな場所はあるかなー、と考えると、まあ通っている学校がそうかもしれません(笑。

 色々学ぶことが多かった一冊です。
 なんだか纏まりのない感想ですが、とりあえずこれで終わり。明日、倫理の先生にご本をお返しします。

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稿 累華
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性別:
女性
誕生日:
1990/10/06
職業:
大学生
趣味:
読書・執筆作業・芸術鑑賞
自己紹介:
現在都内の大学に通う大学一年生。一年の時点では教養課程なので専攻はないけど、二年になったら心理学コースに進む予定。
英語はそれなりに読んだり聞いたりして理解できるけど、喋るのはあまり得意ではなかったり。第二外国語ではフランス語、第三外国語ではラテン語を学習中。
将来的には作家になりたいので、創作の肥やしにするために色んなものを聞いたり見たり読んだりして経験値を増やそうと日々奮闘してます。

くわしいプロフィールは下のURLから。
http://pr2.cgiboy.com/S/2401908
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